マグ
2
PM22時。
森・・・・ちょっとした森。都会の一角に設けられたその公園はちょっとした森だった。
「あ、空気が美味しいですね」
・・・・・・と桜子さん。
「呑気なコト言ってんじゃないよ!」
・・・・と女子高生剣士カナ。
「桜子さん」は透き通るように白い肌の日本人形。
喋る。でも慣れれば怖くない。
怖いのは幽霊や怪奇現象じゃない。恐いのはイツだって人間だ。
カナはテンパってた。囲まれた。数は・・・4・・・いや5人か。
なんで追われているのかは良く解らない。
いや、たぶん・・・っていうか間違いなく「桜子さん」が原因です。はい。
「ねぇ、桜子さん、置いて逃げても良いかな?」
少し控えめに問うても「え?困ります・・・」とマジレスが返ってくるばかり・・・
ふぅ・・・私・・・死ぬかな・・・うぅん・・まず犯されるな。絶対嫌っす!
カナはユックリと腰に挿した日本刀を抜く。・・・ズラリ。
と、背後に気配を感じる。カナ振り向きざまに袈裟切りを見舞う
一人目は思いがけず・・・殺す。二人目は勢いで・・・殺す。
三人目は・・・・三人目は・・・計画的に・・確信的に殺した。
一回目だけなら過ちで。
二回ヤレは情が湧き。
三回後には感情が動く。
「仕方の無いコト。貴女が生きるタメだもの、ファイト、ですよね?」
桜子さんが淡々と吐く。
「っく・・・・・桜子さんのセイでこんな状況なんですけど!?」
カナは顔に被った返り血をぬぐいながら悪態をつく。
なんなのかな、コノ人形は・・・不思議だ。人形が喋ってる時点で不思議過ぎるんだけど
ソレだけじゃない。何か不思議。
マグは言ってた。・・・サダメを断ち切って行く過程で「桜子さん」はこういう姿になった・・・と
・・・って、おい!全然解んないし・・・マグはべラボーに強いけど言うコトが周りくどくていけないな・・いや、短縮しすぎなのかな?とにかくメンドクサイ男よね。
・・・とカナは思っている。
塗りつぶしたような暗闇に抜刀。人間の首が音も無く跳ね飛ぶ。血しぶきが上がる。
今宵・・・カナの振るう刃技は確実に切れ味を増していた。