マグ

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PM22時。

森・・・・ちょっとした森。都会の一角に設けられたその公園はちょっとした森だった。



「あ、空気が美味しいですね」


・・・・・・と桜子さん。


「呑気なコト言ってんじゃないよ!」


・・・・と女子高生剣士カナ。



「桜子さん」は透き通るように白い肌の日本人形。

喋る。でも慣れれば怖くない。


怖いのは幽霊や怪奇現象じゃない。恐いのはイツだって人間だ。



カナはテンパってた。囲まれた。数は・・・4・・・いや5人か。


なんで追われているのかは良く解らない。

いや、たぶん・・・っていうか間違いなく「桜子さん」が原因です。はい。


「ねぇ、桜子さん、置いて逃げても良いかな?」

少し控えめに問うても「え?困ります・・・」とマジレスが返ってくるばかり・・・


ふぅ・・・私・・・死ぬかな・・・うぅん・・まず犯されるな。絶対嫌っす!



カナはユックリと腰に挿した日本刀を抜く。・・・ズラリ。



と、背後に気配を感じる。カナ振り向きざまに袈裟切りを見舞う



一人目は思いがけず・・・殺す。二人目は勢いで・・・殺す。



三人目は・・・・三人目は・・・計画的に・・確信的に殺した。





一回目だけなら過ちで。


二回ヤレは情が湧き。


三回後には感情が動く。



「仕方の無いコト。貴女が生きるタメだもの、ファイト、ですよね?」

桜子さんが淡々と吐く。



「っく・・・・・桜子さんのセイでこんな状況なんですけど!?」


カナは顔に被った返り血をぬぐいながら悪態をつく。




なんなのかな、コノ人形は・・・不思議だ。人形が喋ってる時点で不思議過ぎるんだけど
ソレだけじゃない。何か不思議。



マグは言ってた。・・・サダメを断ち切って行く過程で「桜子さん」はこういう姿になった・・・と

・・・って、おい!全然解んないし・・・マグはべラボーに強いけど言うコトが周りくどくていけないな・・いや、短縮しすぎなのかな?とにかくメンドクサイ男よね。

・・・とカナは思っている。




塗りつぶしたような暗闇に抜刀。人間の首が音も無く跳ね飛ぶ。血しぶきが上がる。


今宵・・・カナの振るう刃技は確実に切れ味を増していた。